大転職時代到来!?退職金を増税する理由とは…

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「退職金が増税されるかもしれない!」

2023年6月あたりから、こんなニュースが目に入るようになりました。

ぴよこ

定年まで働いた後は、退職金をつかって悠々自適な生活を予定しているのに…

定年退職後は、年金と退職金でゆったりとした人生を計画している人も少なくないと思います。

ありわら

今回は、退職金が増税される噂の真相について調査しました。

この記事では、

  • なぜそんなことが噂されているの?
  • 何のために退職金を増税するの?
  • 退職金はどのぐらい減るの?

というような疑問に焦点をあてて調べてみました。

増税に疑問を持つ方や退職金の減額に不安を感じる方の参考になればと思います。

目次

退職金増税の要点

なぜそんなことが噂されているの?

このようなニュースが出てきたのは、

政府が「退職所得課税制度の見直し」を検討している

からです。

ことの発端は、岸田文雄首相が本部長を務める「新しい資本主義実現会議」になります。

「新しい資本主義実現会議」とは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした経済政策を考える会議です。

2023年5月に「三位一体労働市場改革の指針」について議論され、今の労働環境の中には「自らの選択による労働移動の円滑化を阻害しているとの指摘がある」と言及しました。

さらに2023年6月16日には、「成長分野への労働移動の円滑化」などが盛り込まれた、「骨太の方針2023」が閣議決定されました。

「骨太の方針2023」とは?

政府が決める方針のこと。

「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」

この「骨太の方針2023」の中に「退職所得課税制度の見直し」が含まれているため、退職金の増税について騒がれています。

以下が内閣府のページになります。

令和5年6月16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023 加速する新しい資本主義~未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現~」(骨太方針2023)が経済財政諮問会議での答申を経て、閣議決定されました。

経済財政運営と改革の基本方針2023

何のために退職金を増税するの?

「経済財政運営と改革の基本方針2023」によると、退職金制度を見直す理由は、

「成長分野への労働移動の円滑化」のため

となっています。

ぴよこ

労働移動のえ、えんかつか…?

「経済財政運営と改革の基本方針2023」の中では次のように書かれています。

自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行う。

経済財政運営と改革の基本方針2023

現行では、勤続年数が長いほど退職金に課税される税額が少なくなるようになっています。

つまり、「自己都合で会社を辞めて転職をすると退職金が減額になるから、長く同じ会社に勤めたほうがいい」という制度を変えようということになります。

「勤続年数が長くなるほど退職金の税額が減るように優遇しているから、労働者が転職に踏み切れず、成長産業へ人材が集まらない」というのが政府の見解のようです。

ぴよこ

一見、増税と関係ないような…

ありわら

勤続年数が長いと優遇される制度を見直すことで、増税になる人が出てくる可能性があります。

退職金はどのぐらい減るの?

では、実際どのくらい退職金が減るのかというと、

2023年6月現在、まだはっきりとは決まっていません。

しかし、「経済財政運営と改革の基本方針2023」の内容から想定されるモデルがいくつか予想されているので、参考までに紹介させていただきます。

退職金増税グラフ

現行の制度は「青色の線」ように20年以上勤続して働くと退職所得控除額が多くなるようになっています。

退職所得控除額は、「80万円に満たない場合」「障害者になったことが直接の原因で退職した場合」「2か所から退職金を受け取る場合」など状況によって計算方法が変わる場合があります。上記のグラフは一例を取り上げたものとしてご覧ください。

しかし、今後の制度改正では、勤続20年以上から退職所得控除額を増やすことをなくして、控除額の増加分を一律にすることが予想されます。

そのため「オレンジ色の線」や「黄色の線」のように勤続20年以上が優遇されることがなくなるように改正されることが予想されます。

ぴよこ

勤続年数が40年の場合、控除額が下がってる!!

ありわら

これが、「退職金増税」と騒がれる理由です。

所得控除額が変わるかもしれないことはわかったけど、実際どのぐらい税金で引かれるか気になりますよね。

具体例をあげて計算してみましょう。

退職所得控除額が「40万円×勤続年数」(グラフのオレンジ色の線)に改正されたと仮定して、22歳から60歳まで一つの会社で働き、退職金が2,000万円の場合、

  • 【改正前】所得税 + 住民税 =    0円
  • 【改正後】所得税 + 住民税 = 約39万円

となります。

現行制度では、38年働くと退職所得控除がちょうど2,000万円を少し超えるため、税金がかからないようになっています。

しかし、今後改正があると税額が発生するようになる可能性があります。

退職所得控除額を「40万円×勤続年数」より低くしてしまうと、勤続年数が少ない人にも影響が出てしまうため、これ以上下げる可能性は低いのではないかと考えられます。

「退職所得課税制度の見直し」から考えたいこと

退職金の増税の真相について少し理解が深まったでしょうか?

少しでも参考になれば幸いです。

また、今回の「退職所得課税制度の見直し」についてどのように感じられたでしょうか?

退職金の税額を増やすなんて、とんでもない!

多少、退職金が減るぐらいか…

人によって感じ方は様々だと思います。

退職所得控除の変更が予想されてはいますが、退職金自体は勤続年数が長いほうが有利な企業が多いと思いますので、長期で働くことのメリットはまだあると思います。

しかし今後問題となってくるのは、さらなる法改正により、退職金を含め、終身雇用制度のような長期で労働者を雇用する形態がますます不利になっていく可能性があるということです。

ポジティブにとらえれば、自分にあった労働条件を求めて転職しやすい環境になっていく可能性があるということになると思います。

「経済財政運営と改革の基本方針2023」の中では、次のような記述もありました。

「成長分野への労働移動の円滑化」については、失業給付制度において、自己都合による離職の場合に失業給付を受給できない期間に関し、失業給付の申請前にリ・スキリングに取り組んでいた場合などについて会社都合の離職の場合と同じ扱いにするなど、自己都合の場合の要件を緩和する方向で具体的設計を行う。

「経済財政運営と改革の基本方針2023」

リ・スキリングとは、新しい職業に就くためや、今の職業で必要とされているスキルの大幅な変化に対応するためのスキル習得のことです。

また、

求職・求人に関して官民が有する基礎的情報を加工して集約し、共有して、キャリアコンサルタントが、その基礎的情報に基づき、働く方々のキャリアアップや転職の相談に応じられる体制の整備等に取り組む。

「経済財政運営と改革の基本方針2023」

との記載もありました。

政府としては、産業間の労働者の偏りがなくなるように、または、より人材を求めている企業に労働者が移動しやすいように改革を進めていくと思われます。

同条件の会社間で、転職したほうが税金の面で有利になるようなことはないと思いますが、転職するのは当たり前という時代が、そう遠くない未来に来るかもしれません。

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